海岸漂着ゴミの回収活動

BOISSでは、以下の2通りの漂着ゴミの回収に取り組んでいる。                          ①特にアクセスの困難な海岸を対象に、限られた時間でより多くの漂着ゴミを回収する海岸清掃         ②利用頻度の高い海岸で、島内外の様々な団体を対象とした環境教育を交えた海岸清掃

ここでは、平成21年度より環境省の請負業務として行ってきたマリンワーカー事業における①の海岸清掃活動について、漂着ゴミの分別結果等も交えて紹介する。

※マリンワーカー事業とは 自然公園法第19条に基づいた国立・国定公園の海域適正管理推進事業

父島列島から聟島列島、西之島まで

 父島列島中心に、聟島列島、過去には2度にわたり西之島までの海岸エリア(小笠原国立公園特別保護地区、国指定小笠原群島鳥獣保護区内)の清掃を行ってきた。ウミガメや海鳥の繁殖、生息地など、生態系保全上重要な地域の保全を目的とした清掃活動であるため、ウミガメのふ化期や海鳥の繁殖期も念頭に置き、実施時期を選択してきた。しかし近年では、海岸手前に岩や浅瀬があるアクセスの悪い海岸に多くのゴミが滞留している様子が頻繁にみられ、景観美化も主要な目的としてそれら海岸を選択し、母船から泳いで渡り回収物を運び出す機会も増えている。

4年間の分別調査を経て

平成21年度から24年度にかけて、父島列島海岸域に漂着するゴミを漁業系、生活系、事業系、海外由来の4種に分別したところ、漁業系のゴミがほぼ半数を占めていることがわかった。漁業系ゴミは、大きなブイなどが多く、容量にすると生活系や事業系ゴミに比べて大きい。しかし、特にロープや漁網のかたまり等は砂に埋もれていることが多く、海岸からの搬出が困難で放置することもあるため、実際の漁業系漂着ゴミは回収量よりもはるかに多いと考えられる。

海外由来ゴミから示唆されること

 平成24年度の海外由来ゴミを国別にみると、17カ国のゴミが確認された。中でも、中国、台湾、韓国のアジア圏の漂着ゴミが圧倒的に多く、黒潮や黒潮韓流の影響が大きく受けていると考えられた。これらアジア諸国の中には、経済発展が著しい新興国も多く、生産・消費の増加に伴い、漂流ゴミも増加傾向にあるのではないだろうか。

海外由来ゴミの国別および種類別割合

 アメリカやメキシコのゴミは、北赤道海流によるものとも考えられるが、グローバル化が進んだ今日においては、必ずしも生産国から漂流したとは言えないだろう。

大量にみられる小型ブイのほとんどは中国、台湾、韓国製
漂着する瓶はアジア系のものが多く、蓋が必ずついている