希少昆虫類の保全

 種の保存法に基づく国内希少種に指定されているオガサワラハンミョウや、希少トンボ類3種の昆虫類の生息地を確保するための環境整備活動等の保全活動を、専門家の指導を仰ぎながら継続的に取り組んでいる。


希少トンボ類3種(2004-)

*基礎的生態調査
 父島の属島である兄島と弟島の計7つの沢をくまなく踏査し、固有のトンボの数をカウントして記録している。(2014-環境省委託事業として受託)

*保護増殖事業―トンボ池の設置と整備
 兄島、弟島、西島に、約100箇所の人工のトンボ池を設置している。池(大型のプラスチック桶)のメンテナンスはもとより、水質悪化を防ぐため枯れ葉の除去作業や、トンボ の幼虫であるヤゴの生息状況により、池としての有効性を精査している。
 また、特に弟島では、外来植物であるシュロガヤツリが沢で繁茂し、開放水面の減少がトンボの産卵場所の減少に容易につながってしまう。これを防ぐため、産卵期前には池の 外来植物の伐採作業を行っている。

兄島で調査中に会ったハナダカトンボ
天然記念物、小笠原固有種、国内希少野生動植物種、CR+EN

*成果と問題点
 雨が少ない年は、昆虫の繁殖活動に多大な影響を与える。止水性であるイトトンボ類やオガサワラトンボは、トンボ池の設置により、極度の渇水期でも繁殖が確認されるようになった。
 しかし、湧水性のハナダカトンボは危機的状況で、場所によってはクラッシュと呼ばれる壊滅的状態にある。また、兄島では、外来生物であるグリーンアノール侵入の完全防除が難しい状況で、今後トンボ類の生息をさらに脅かすものとなり、保全活動はより困難になる可能性が示唆されている。
 今後も、行政や関係機関、専門家と連携し、保全活動の指標となる基礎調査の継続に積極的に取り組んでいきたい。


オガサワラハンミョウ(2015-)

*基礎的生態調査
 世界でも兄島にしか生息していないオガサワラハンミョウの生息数は、減少傾向にある。現状や要因、保護方法を知るための基礎 調査として、10箇所の現生息地を定点とした巣穴のカウントや、導入個体の追跡調査を行 っている。

*保護増殖事業-生息域の確保と飼育個体の導入
  林野庁と東京都が主体で行われている兄島の外来植物駆除(薬注)により、モクマオウ等のリター(落ち葉)が発生する。これらのリターは、生息地として裸地を好むハンミョ ウには脅威であるため、定期的に除去作業を行っている。
  また、世界遺産センターで飼育したハンミョウを生息域に導入し、導入後の生息率や移動経路を知るために目視で追跡を行っている。  

環境省で飼育され再導入されたオガサワラハンミョウ
(個体識別用に羽にマーキングされている)
天然記念物、小笠原固有種、国内希少野生動植物種、CR+EN

*成果と問題点
 生息数の減少の主な原因は、モクマオウ等の外来植物のリターにより、生活環境が奪わ れていると考えられてきたが、いまだ明確な原因はわかっておらず、複数の要因が重なっている可能性がある。放置することで絶滅するといわれてきたハンミョウであるが、外来植物の除去や、生息地を覆うリターの除去を進めた結果、生息数の減少傾向に歯止めがかかりつつある。